設立趣旨

今、木造建築の環境が大きく変化し続けている。

その変化は、人口の爆発的増大と経済活動の拡大による、資源、エネルギー、食料機器の顕在化や急速な地球温暖化など、地球規模での環境の変化への対応と、情報化社会への急速な以降と拡大によるグローバルで多様な要望が表面化し、深化し続ける要望に対応するために、これまでの大量生産、消費、拡大から、省資源、省エネ、多様性に呼応する、知的でかつ複合的な対策が求められ続けられていることにある。
その結果、木造の住宅建築は、機能や性能などが飛躍的に向上し、とりわけ大量生産を可能とした効率的工業化住宅は、世界に冠たる産業として成長し、現在も木造建築の中心として位置づけられている。

これまでの木造建築は、戦後の復興期と高度経済成長期を経て、新築の木造住宅を大量に作り続けることが中心となっていた。

また、近年の木造建築の推進にかかる法律の制定や整備は、大規模木造を含めて、広く木造建築を普及させるための対策が取られ始めている。しかしながら前述の大きな環境の変化は、これまでの木造建築から新たな木造建築へとてんかんすることが求められている。

その転換は、大量生産と大量消費を前提とし、生産性や効率を重視した、環境に対する負荷型で画一的な建築(=Sclap & Build)から、環境における負荷を少なくし、限られた資源を有効に活用するための構造やシステムの構築を前提とした、長期にわたる多様な要望に対応する木造建築(Create)へと大きく転換を図ることである。

それを実現するためには、木造建築のプロセスを、使い手と作り手及び研究者や行政を含む全ての担い手による、地域やエリアを基盤とした共創と共生の「かたち」や場を作り上げることである。

そして、そのことが多様化する要望に応え続け、長期にわたって環境負荷や省資源に対応できる木造建築を創り、心ならずも文化として成りえていない我が国の木造建築の基盤を形成させることでもある。

木造建築は文化である

木造建築は、素材とディテールから人に最も寄り添ってきた生活の場であり、地域の文化でもあった。

豊かで変化のある四季の移ろいと自然との対話、成長よりも協調などの和を重んじ相対的で共同体としての伝統や文化など、日本人が持つ原風景は、共創と共生を求められている今こそ、その力を発揮することを求められていると言っても過言ではない。まして、世界に比類なき技術などの潜在力は、これからの木造建築を遠望する上で重要な基盤となっている。

これからの時代に受け継がれる文化としての木造建築を創り出すために、使い手、作り手、関連する担い手、研究者及び行政などを結び、必要とされる木造建築の技術をはぐくみ、常に情報を発信し、共創をおこない、共生の中で世代に受け継ぎ、さらに次の世代を育成し続けることが今、真に必要とされているのである。

そのために、われわれは“き塾”を設立し、志をもち、集い、声を上げ、ともに木造建築を学びながら、今の、そしてこれからの木造建築を創りつづけようと思う。

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